改めて考える小売業の意味(1)

「小売って様々な効率が良いとは言えず、利益も少ない(取扱品目による)。それなのになぜ小売に投資していくのか?」


先日、お取引先の方々と話をする機会があって私自身も改めて考えることになった話題。

経営の仕事を始めていよいよ6年目。

これまで死に物狂いで仕事をしてきた(今もだけど)反面、何度も小売を諦めかけたからこそ、その答えはもうすでに私の中にあった。というより、それがなければ小売業はおそらく続けていくことができないのだろう。

実際に対話させていただいたのは、経営と実務のバランスをとりながら事業をされている方たち。なので、立場としては私も同じ。
ただ、プロダクトに強いがゆえ小売の非効率さにはやはり不安もあるようで、投資に慎重になるのは当然のことだ。


●小売業に潜む資金繰りの影

そんな折、ふと整理して考えてみるとやはり小売業を成長させていくのは難しいのか?と思い当たる部分が多々あった。

まずは"在庫とキャッシュフロー"の問題。
戦うための資産(在庫)があることは素晴らしい。しかもそれが賞味・消費期限もなく、いつまでも販売ができるモノであれば尚更である。
…というのは理想論で、実質、感性や物性における消費期限は必ずやってくる。
さらには、仕入れたモノが必ずお客様の琴線に触れるとは限らないからやっかいだ。
だから、"在庫がある=悪"という謎の論理が今もなお残っている(悪というか残った在庫を大切にしないという空気感がある)ため、自身のストックを痛める(とりわけあるべき売掛金を減少させる)値引き販売により在庫資産を現金化して資産の健全化を目指すのだ。

しかし、売上を立てるための在庫を持つには仕入れが必要だ。
そして、仕入れをするためには何が何でも資金が要だ。
誰がどう考えても、先立つ金を在庫に換えなければ売上は100%立たない。
在庫量(上代)が売上予算を超えることができなければ、永遠にその店舗は予算を達成することはできない。

であれば、あくまで粗っぽい論調だがとあるシーズンに仕入れたモノがキチンと売れなければ、翌シーズンの仕入れに使える資金が漸減するのだ。
そうして資金が徐々に減っていき、売上をとることさえもままならないようになる。
つまり、売上が落ちてすぐに対処することができなければお先真っ暗、未来は闇、というロジックが成り立ってしまうのだ。


●販売力という"人間力"による顧客の多寡

更に難しいのはココ。
平たく言えば"マンパワーがなければ絶対に顧客がつかず、売れ筋商品も最終消費者に届けることができない"のだ。

どういうことかと言うと、在庫キャッシュフロー問題が解決したとしても結局は"ヒト"が作ったモノを"ヒト"が仕入れて販売し、"ヒト"が購入して使うという不文律がある。
その不文律は決してラッキーなんてものでは済まされない。実生活において、日々の暮らしに必要な現金を"趣味である(場合が多い)モノ"に換えるほどのインパクトをお客様に与えなければならないからだ。

つまりは"金があってもできないヤツにできない"のである。
※汚い言い方ですみません。

幸いにも私の周りは人間力のある方が多く、マンパワーで苦しんでいる様子は見受けられない。しかし、そんな優秀な方々であっても小売を伸ばし続けるのは至難の業だ。

時代の流れるスピードはとてつもなく早く、移り変わる大きな唸りの中でTPOやトレンドに応じたコミュニケーションをとりつつ、顧客様=ファンを増やしていく。

言葉にするのは簡単だが、実際にはかなり難しい。お客様と心を通じ合わせるためのトレーニングが必要だし、会話の中に世間の知見も必要である。もちろんその力は一朝一夕で得ることができない。だからこそ、顧客様をより多く獲得することができた小売店の未来はもちろんながら明るい。

つまり、気が遠くなるような時間と経験の積み重ねによって得られるマンパワーを最大限に発揮することによって、小売業の進歩という成果が初めて得られるのだ。

まさにプロフェッショナルが成せる技なのである。


●じゃあ小売業ってどうなん?

長くなったので次回へ続く。

何気ない日常の生活

K.K Director 日常に感じたことをつらつらと書き溜めています。限りなく個人的ではありますが、たまに仕事の話をしています。 関西を軸にライフスタイルカンパニーと銘打った企業の経営をしています。主な事業は生活雑貨&ファッション小売、カフェ、ヴィンテージ雑貨、その他プロデュースです。 https://www.buff-aida.com

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